関学の鳥内監督のコーチング論がすごい!これはアメフト界の名将ですわ

はじめに

5月26日に関学のタックル問題での記者会見がありました。

24日の日大の会見と回答書に対しての意見を述べていました。

関学の会見といえば、会見を開くたびに傷を広げていく日大とは対照的に、理路整然とした内容で、多くの人から称賛されていますね。

26日の会見もとても分かりやすいものでした。

日大の会見の矛盾を的確に指摘することはもちろん、負傷した選手の現状や、これからの方針などをわかりやすく説明していました。

その中で一番印象に残ったのは、鳥内監督、小野ディレクターのコーチング論についてです。

会見の多くの内容が、事件に関する事実を基にした意見でしたが、その中にあって、コーチング論というのはやや異色の内容でした。

ただ、このコーチング論についての話が、鳥内監督、そして小野ディレクターがもっとも熱を持ちながら話していた印象です。

指導に対する思い、そして、学生への指導はまさにこうあるべきというような内容でした。

この話についての記者とのやり取りを書き起こします。

「内田監督は名門日大を背負うという重圧があったかもしれません。関学も勝利を義務付けられたチームですが、そういった重圧が指導に影響することはありますか?」

鳥内監督の回答

勝つことは目指しますけど、勝負いうのは勝ち負け両方あるのでこれはしゃあないですよ。

何をいちばん大事にするかといったら人間の教育。

人間形成を第一にやっているので、勝ち負けはあまり意識していません。

一応、日本一を狙うことをみんなで目標にして役割を与えてミッションを与えてその責任を果たすようにもっていくと。

そこで人間性が形成されて、コミュニケーションも養えるし、やはり、それで一方的に上級生が下級生にこうしろというのではなしに、下の意見も吸い上げながら、今年一番良い方法を考えてやっていこうと。

これを毎年やっているんですけど、勝てるときもあるし負けるときもある。

負けたら自分の責任とは言うてるんで。学生には何も押し付けてません

日大の回答書を見るとDLの選手(宮川君)は闘志がなかったという指摘があります。アメフトをやるには最低限の闘志や勇気が必要だとおもうのですが、闘志を引き出す指導法はどういうものがありますか。

鳥内監督の回答

いやあの、プレーぶりを見ると非常にうまい、上手なハードワーカーですから全然問題はないと思うんですけど。まあしゃべるのが、声が小さいとか何かあったのか知りませんけど。

性格はいろいろありますからね。そんなこと強制して意味あるのかなと。無理ちゃうかなと。

僕はそんなんしませんよ。そういうことしません。

その個性を尊重しながらいちばんええプレーを目指してくれればいいだけのことであって。

ーありがとうございます

この会見では、「ありがとうございます」という言葉が出たら、小野ディレクター、鳥内監督ともに回答を終了していたのですが、この話には熱い思いがあるらしく、最後に一言付け加えました。

自分でわかって変わっていくことですよ。強制されることと違います。

ーありがとうございます

そして、ここで小野ディレクターも自らのコーチング論を語り始めます。この質問は鳥内監督に向けられたものでしたが、小野ディレクターも熱い思いをもっているらしく、マイクを受け取って話始めました。

小野ディレクターの回答

僕もコーチを20数年していましたのでちょっとだけ付け加えるとですね、闘志っていうのは勝つことへの意欲だと思いますし、それって外から言われて大きくなってくるものじゃないと思っています。

やっぱり、自分たちの心の中から内発的に出てくるものが一番大事ですし、それが選手の成長を、育てるもの。

それが根源にあるのが、フットボールは面白い、楽しいという気持ちがいちばん大事です。

やっぱり我々はコーチとして、一番大事なのは、その選手のなかに芽生える楽しいという気持ち。

これはロウソクの火みたいなもので、吹きすぎると消えちゃいますし。

やっぱり、大事に、少しずつ大きくしていかなきゃいけない。

でもそこには、そっと火を大きくするような言葉も大事でしょうし。

ですけど、やっぱり内発的なものをどう育てるかというのが、一番コーチにとって難しい仕事なんだと思っております。

小野ディレクターの追加回答が終わり、この話題も終了と思いきや、さらに鳥内監督が再び話始めました。

鳥内監督の再回答

あとね、自分が思うのは、やっぱりみんな好きなことには絶対に熱中するんですよ。

子供がそうであるように。小学校、中学校と進んでいくにつれて、与えられることばっかしでそういう面を消されていっていると。

またフットボールが好きになって、やはり今、小野が言ったように、内面から好きになって初めて、自分の持っている力が最大限に発揮できる。

だから、練習中はあまり褒めません、何も言いませんよ。

僕に褒められるためにやってもしゃあないと。

最終的に勝つためにやること。それが当たり前のことであってね。

褒めすぎると、何かしらんけど褒められたいためにやると、それでは最終的にビッグゲームに勝てない。と言うのが僕の考えです。

改めて感想

とても素晴らしい回答だと思います。会見を通しで見るとわかりますが、明らかにこの話の時だけ熱の入り方が違いました。

普通だったら、記者会見では、余計なことは言いたくないので、あまりしゃべりたいと思わないはずです。

しかし、このときは、二人とも自分から熱く語っていました。

それだけ、普段からコーチという仕事に対して真剣に向き合っているのだと思います。

それに加えて、日大の監督にたいしての怒りもあったのかもしれません。

宮川選手に対して、「闘志が足りない」と言っていたらしいですが、「闘志が足りない」というのは、自分の中にある「スポーツ選手はこうであるべき」という基準に対して、足りていないということだと思います。

その「あるべき姿」に選手を無理矢理押し込めようとしてしまえば、選手の個性が育つはずありません。

やはり、鳥内監督のいうように選手一人一人の個性を尊重して「あるべき姿」になることを強制しないことが、選手を育てる上で重要なことだと思います。

そして、小野ディレクターと鳥内監督の考えに共通の、選手の内発的な要素が大切だということ。

特にその根底のフットボールが好きだとという気持ちを大きくすることが重要だという考えは素晴らしいです。

選手が成長するには、内的なエネルギーと外的なエネルギーが必要だと思います。

内的なエネルギーは、その競技が好きだからうまくなりたいという気持ち、そして外的なエネルギーは他者からの叱責や称賛の言葉です。

どちらが、より選手を育てるかといえば内的なエネルギーでしょう。

まさに、好きこそものの上手なれです。好きという気持ちが持てれば自然に成長していくはずです。

鳥内監督の発言で、すばらしいなと思ったのが、選手をあまり褒めないということ。

ほめるということは、教育においてよいことですが、その一方で、純粋に競技へと興味を持つことを妨げてしまいます。

褒められたいという気持ちも、怒られたくないという気持ち同様、選手の中の上手くなりたいという動機をおかしな方向にもっていってしまいます。

選手の個性を伸ばすこと=褒めることと考えてしまいがちですが、あえて褒めないというのは深いと思いました。

鳥内監督は素晴らしい

はじめにニュースで見たときは、正直言って「この人絶対、内田監督と同じようなことしてるだろ」と思っていました。なにせかなりの強面だったので。

しかし、今回の発言を聞いていると、とても素晴らしい考えを持った監督だということがわかりました。

10回の全国制覇も納得できます。

やはり、このような素晴らしい考えを持つに至ったのは、海外へのコーチ留学の経験があったからでしょうか。

日本と比べて人権を大切にする海外の文化が大きな影響を与えていると思います。

また、小野ディレクターについても素晴らしい人物であると思います。

僕はアメフトをよく知らないのですが、なにやら関学で小野ディレクターによるアメフトの講義があるようで、それにすごい興味があります。関学の試合も見てみたいです。

日本のスポーツ界は結構、内田監督みたいな人物がいると思うので、鳥内監督や小野ディレクターのようなモラルのある人物がもっと増えて欲しいです。

今回の事件が良いきっかけなってほしいです。

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